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『美男ですね』第10話v 林田力 wiki記者レビュー

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第10話「最終話前編-衝撃の真実!!」が9月16日に放送された。「近づいては離れる」の繰り返しが恋愛ドラマの王道であるが、それを実践した今回は最終回直前の好脚本になった。
前回のラストで母親の水沢麗子(萬田久子)が自分を捨てる理由になった人物が桜庭美男(瀧本美織)の父親であったことを知った桂木廉(玉森裕太)は「お前の顔は見たくない」と言い放つ。しかし、この廉の言動は一方的であり、狭量である。美男の父親が麗子を誘惑するなど美男の父親側に責任があるとは決まっていないためである。
美男を悲しませる廉を見て、藤城柊(藤ヶ谷太輔)が再び美男にアプローチしたことも自然である。柊は韓国オリジナル版以上にダークな恋敵を演じたが、最後は廉を後押しする好漢になった。同じく恋敵の本郷勇気(八乙女光)も、廉の隠れた美点と、その美点が美男によって引き出されたことを認める応援者になった。A.N.JELLの絆の深さを示す心温まる展開である。
廉とNANA(小嶋陽菜)の関係にも決着がつき、スキャンダルを追うパパラッチ記者集団の問題も解決する。美男加入後のA.N.JELLのゴタゴタに不信感を抱く事務所社長の安藤弘(高嶋政伸)の問題が残っているものの、最終回に向けて美男と廉のカップルの成否にストーリーが絞られた。
廉は美男を拒絶したものの、麗子から美男の母親の写真を受け取り、美子に渡す。「ずっと母親を待ち続けていた」という美男の気持ちを思っての行動である。独り善がりな善意の押しつけではなく、相手の気持ちを思う優しさがあってこそ恋愛ドラマの主人公にふさわしい。
しかし、それならば「お前の顔は見たくない」との発言は、あまりに短慮である。廉はドラマ序盤でも美男に対し、「絶対に許さない」とまで断言しておきながら、すぐに撤回する結果となった。その時その時の気持ちを正直に発言しているからドラマになるという見方も成り立つが、一貫性のなさは廉のカリスマ性を損ない、安っぽい人物にしてしまう。
その廉が自分から空港まで美男を迎えに行き、麗子の件を謝罪した。これは大きな進歩であったが、「相手と一緒にいると親のことを思い出してしまう」という廉が美男に言ったものと同じ言葉で拒絶されてしまう。自己の短慮が因果応報となった形である。この状況を廉がどのように立て直すのか、最終回から目が離せない。
(林田力)
http://hayariki.hatenablog.com/
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『美男ですね』第9話v 林田力 wiki記者レビュー

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第9話「最終章別れ…残酷な運命!!」が9月9日に放送された。桂木廉(玉森裕太)の実母・水沢麗子を演じる萬田久子が悪女を怪演した。
前半は満開の恋愛ドラマである。相思相愛を確認した桜庭美子(瀧本美織)と廉(玉森裕太)。一緒にいるだけで互いに幸せという初々しい恋愛を見せつける。それにショックを受ける本郷勇気(八乙女光)や「美男だけは譲れない」と宣言する藤城柊(藤ヶ谷太輔)と、恋のライバル達も光っている。
幸せいっぱいの美男と廉のカップルであったが、後半には急転直下する。二人の幸せを引き裂く存在が水沢麗子である。麗子は廉にとっては自分を捨てた憎むべき母親であり、美男の両親とも因縁がある。美男や廉の心理を読み手玉にとる憎々しいほどの余裕のある悪女であった。
麗子を演じる萬田久子はNHK大河ドラマ『天地人』で、上杉謙信の虚偽の遺言を偽証する妙椿尼を演じた。この偽の遺言が御館の乱の悲劇につながる。遺言の偽証は明らかに悪であるが、それが主人公サイドの利益になるという物語の善悪の価値基準が倒錯していた。それでいながら主人公の義を強調したところに『天地人』の不振の一因がある。
悪をなしながら悪女になりきれない中途半端さが残った妙椿尼に対し、『美男ですね』の麗子は悪女が全開である。美男に優しそうな言葉をかける態度も憎たらしい。他人を不幸にするためだけに存在するような女性を怪演していた。
『美男ですね』の二大悪女はNANAと麗子である。しかし、NANA役の小嶋陽菜はAKB48有数のマイペース派で、韓国オリジナル版のユ・ヘイ(ユイ)のような毒々しさに欠ける。ヘイは自分の方がファン・テギョン(チャン・グンソク)を好きなことを認めようとしないプライドの高さがあったが、NANAは専属ヘアメイクのトオル(楽しんご)から「恋する乙女」と揶揄されている。
パパラッチ記者に追及されて気絶したふりをするシーンは韓国版と同じである。韓国版ではヘイの図太さを印象付けたシーンであった。しかし、日本リメイク版では小嶋陽菜の根の善良さが隠しきれず、反対に記者(六角精児)らに手玉に取られている印象を与えた。
多少は同情できるキャラに設定変更されたNANAと比べ、麗子は韓国版のモ・ファラン(キム・ソンリョン)の憎々しさを残している。むしろ今は落ち目の歌手であることや過去の男性遍歴への悪評、健康面の不安などが描かれたファラン以上に、麗子は悪女になりきっている。日本ドラマで少なくなった突き抜けた悪人を描く韓国ドラマのシナリオにベテラン女優の演技力がマッチした。(林田力)
http://www.hayariki.net/pj3.html

『美男ですね』第8話v 林田力wiki記者

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第8話「チャングンソク遂に登場!!」が9月2日に放送された。今回は桜庭美男・美子(瀧本美織)の母親の謎や藤城柊(藤ヶ谷太輔)と桂木廉(玉森裕太)の告白という物語上の重要なイベントがあるが、それでもサブタイトルは「チャングンソク」である。韓流スターの存在感の大きさを示している。
本人役で出演したグンソクは、A.N.JELLと一緒に写真撮影に臨む。美男とベタベタするグンソクに対し、美男以外のA.N.JELLの面々は面白くない表情をする。
韓国オリジナル版で廉に相当するファン・テギョンを演じ、強烈な印象を残したグンソクをリメイク版に出演させることは大きな話題づくりになるが、作品そのものにとっては冒険である。グンソクによって廉のイケメンぶりが霞んでしまう危険があるためである。
実際、グンソクの登場シーンはグンソクに美男、その他大勢という構図になった。これはイケメン揃いのA.N.JELLの中でもひときわ輝く廉のキャラクター設定にはマイナスになる。
しかし、廉の反応を柊や本郷勇気(八乙女光)と同じにすることは廉の存在感を埋没させる一方で、A.N.JELLの一体感を描く効果がある。韓国版では美男に相当するコ・ミナム(パク・シネ)以外のA.N.JELLのメンバーは子どもの頃から一緒に活動しており、気心の知れた仲であった。韓国版ではエピソードの端々で活動歴が長いことを描いてきた。その積み重ねがあるからこそ、ミナムをめぐる恋の争いが勃発して険悪なムードが漂っても、グループ崩壊というような決定的なところには至らなかった。
これに対して日本版は美男加入以前のA.N.JELLの歴史への言及が少ない。A.N.JELLの面々が韓国版以上に恋に積極的であることもあり、メンバーの仲の良さよりも対立が強調されがちである。日本版は韓国版よりも放送回数が少ない以上、細かなエピソードの省略は仕方のないことである。
その代わりにグンソクという圧倒的なスターを対置させることで、A.N.JELLの一体感を示した。それは中盤の柊を傷つけるNANA(小嶋陽菜)の言動への「A.N.JELLは俺が守る」という廉のセリフにつながる。グンソクの出演は単なる話題作りに終わらない味のある内容になった。(林田力)
http://www.mybookle.com/indiv/bookle/3079

『美男ですね』第7話v 林田力 wiki記者レビュー

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第7話「運命のキスと奇跡の告白!!」が8月26日に放送された。クールで無愛想な桂木廉役の玉森裕太が嫉妬に燃える姿を熱演した。
今回は桜庭美男(瀧本美織)が女性であることがA.N.JELLの全メンバーに公になる。藤城柊(藤ヶ谷太輔)は積極的に美男にアプローチし、傍から見ると美男と柊は、いい雰囲気になっている。それが廉には面白くない。柊が美男に告白して美男がトキメク妄想までして、それを阻止しようと躍起になる。
実際のところ、美男は廉が好きで、柊は悲しくなるほど異性として意識されていない。廉にドキドキする美男はブタ鼻で心を鎮めようとするが、真意の分からない廉はバカにされていると勘違いする。さらにNANA(小嶋陽菜)の意地悪も加わって、二人はすれ違いを続ける。それでも二人の互いを想う気持ちは明白であり、安定感のあるラブコメに仕上がった。
普段はクールな人物が恋愛で必死になる姿には滑稽味がある。廉が上から目線で「好きになることを許可してやる」と言ったところで、「お前が美男を好きなくせに」と突っ込みたくなる。視聴者はニヤニヤしながら廉というキャラクターを見守ることができる。
『美男ですね』は韓国ドラマのリメイク版であり、オリジナルとの比較は避けられない運命である。特に廉に相当するファン・テギョンを演じたチャン・グンソクは、この役でアジアの大スターとなった。廉を演じる玉森裕太には「チャン・グンソクには及ばない」というバッシングを受ける危険があった。
圧倒的なカリスマであったテギョンに対し、廉は子どもっぽくすることで日本版の独自性を出した。さらに今回は恋愛への必死さを出すことで、廉を愛すべきキャラクターとして演出した。
玉森は前クールの月9ドラマ『幸せになろうよ』では真っ直ぐな高校生・柳沢優次を演じた。両親が離婚調停中で自宅に居場所がないという彼女のためにアパートを借りて同棲しようとして、彼女にドン引きされる。文字にすると情けない役どころであるが、その必死さが好人物として描かれた。
トップアイドルの廉と優次では社会的立場が異なるが、恋愛に対する必死さは同じである。玉森の熱演は普通の恋愛ドラマとして楽しめる演技になっていた。好きな気持ちを必死に演じる俳優として玉森の今後の活躍にも期待が持てる。
次回の第8話はチャン・グンソクが本人役で登場し、美男の秘密を知るなどA.N.JELLと絡んでくる。不動のカリスマ・グンソクと愛すべきイケメン・玉森の共演に期待大である。
(林田力)
Riki Hayashida
http://www.bookreco.jp/member/reviews/index/50368

『美男ですね』第6話v 林田力 Wiki

TBS系の金曜ドラマ『美男ですね』の第6話「彼女は俺のモノだ」が8月19日に放送された。本郷勇気役の八乙女光がコミカルな役回りながら、真摯な演技で誠実さを出していた。
桜庭美男(瀧本美織)に激しく嫉妬するNANAは「女性であることを暴露する」と脅迫し、精神的に追いつめられた美男は高熱を出してしまう。一晩中看病した桂木廉(玉森裕太)だけでなく、藤城柊(藤ヶ谷太輔)も勇気も心配し、皮肉なことにNANAの悪意はA.N.JELLの結束を高める方向に働いた。
韓国オリジナル版のジェルミ(イ・ホンギ)に相当する勇気は明るく陽気なA.N.JELLのムードメーカーである。日本版の勇気は性格も金髪の外見もジェルミの雰囲気を出している。この勇気はA.N.JELLで唯一、美男の正体が女性であることに気付かないメンバーである。そして男性と勘違いしたままで、美男を好きになっていく。
カリスマ的な存在感を放っていた韓国版のファン・テギョン(チャン・グンソク)に比べると、廉には子どもっぽいところがある。コ・ミニョ(パク・シネ)を遠くから見守る足長おじさん的なところもあったカン・シヌ(チョン・ヨンファ)に比べると、柊は恋のライバルとして廉と張り合っている。これに対して勇気は最も韓国版らしさを出しているものの、日本リメイク版では男性を好きになってしまうアブノーマルさが強調された。
『美男ですね』は女性が男性に扮するドラマであるが、視聴者は正体が女性であることを知っている。そのために美男を男性ではなく、男性のふりをする女性と観ている。その中で男性と認識する美男を好きになる自分の気持ちに動揺する勇気は道化役となってしまう。特に日本版ではオリジナルキャラクターにオカマのトオル(楽しんご)を登場させ、男性を好きになった勇気の気持ちを笑いどころにしている。
しかし、同性愛を異端視し、笑いの対象とする演出はマジョリティのステレオタイプを反映したものに過ぎない。同じクールにインターセクシュアルをテーマにしたドラマ『IS(アイエス)?男でも女でもない性?』が放送される中で前時代的な演出になる。
これに対して、今回は勇気の真摯さが描かれた。代わりにトオルが絡む笑いどころは本人役で登場した香取慎吾(SMAP)と馬淵始(柳沢慎吾)の「しんご」トリオに任されている。香取慎吾は主演映画『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!』の宣伝で出演した形である。
テレビ局の営業事情を反映した香取の出演は韓国版のファンには眉をひそめたくなるところであるが、ドラマにも意味を与えている。香取の出演シーンではトオルらと一緒にバカをする香取と、それにドン引きしたA.N.JELLが対比される。A.N.JELLの態度はバカをやって盛り上げた先輩芸能人に対するものではないが、そのクールさが架空のバンドであるA.N.JELLの大物ぶりを示している。
勇気は美男と二人きりになったことに心をときめかせ、病み上がりの美男のために食事を作り、寝ている美男の唇にドギマギする。コミカルなシーンであるが、勇気を演じる八乙女はマジメで誠実さが表れている。お調子者の印象のある勇気であるが、美男への態度には美談が抱える重圧を和らげようという気持ちが込められている。
八乙女は2004年放送の『3年B組金八先生』第7シリーズで両親の薬物依存や家庭内暴力という深刻な家庭環境にある生徒を演じた。2009年放送の『オルトロスの犬』でも影のある役を演じた。今回にも対照的な役になるが、真剣に生きることと向き合っていた過去の役柄が背景となり、コミカルな中にも重みのある演技となった。次回は遂に勇気が美男を女性と知ることになる。美男を女性と知った勇気の反応にも注目である。
(林田力)
http://hayariki.ie-yasu.com/


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