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『ストロベリーナイト』地上げ屋に殺されたようなもの

フジテレビ系ドラマ『ストロベリーナイト』が2012年1月10日から放送を開始した。誉田哲也の警察小説シリーズ「姫川玲子シリーズ」のドラマ化である。タイトルの『ストロベリーナイト』は姫川玲子シリーズの第一作のタイトルであるが、この内容は2010年に単発ドラマで放送済みである。連続ドラマは『ソウルケイジ』『シンメトリー』『感染遊戯』が原作である。

第1話「シンメトリー」は短編集『シンメトリー』所収の同名の短編に基づく。誉田哲也の作品は推理物ながら犯人側の視点での記述が多いことが特徴で、特に「シンメトリー」は犯人による一人称小説になっている。ドラマでは刑事の姫川玲子(竹内結子)を主人公とするものの、所々で部分的に犯人側の言動を描き、原作の味を出している。

主人公の姫川は警視庁捜査一課殺人犯捜査十係姫川班主任である。警察組織からは女性ということで見下される。犯罪者の心理を推測し、勘に頼る捜査手法を得意とするが、物証重視の捜査手法を採る刑事や違法捜査など手段を選ばない刑事と衝突を繰り返している。姫川はトラウマを抱え、母親とも上手くいっていないという問題も抱えている。

一方で姫川は捜査チームを率いる立場であるが、「このヤマ、絶対に取るわよ」が口癖の仕事中毒であり、望ましい上司とは言い難い。帰りたい部下も残って一緒に食事をしなければならない。しかも「アジの開き」のような死体を見た後でアジの開きを注文するようにデリカシーがない。

とてもではないが、難事件に集中して解決する理想的な体制ではない。しかし、大ヒット刑事ドラマ『踊る大捜査線』が所轄と本庁の対立を描いたように、皆が一致団結して事件を解決という展開は警察のリアリティーにも反し、刑事ドラマには似合わない。警察内の不協和音を楽しみたい。

3月6日に放送した第9話「ソウルケイジ前編」では「奥さんは中林建設に殺されたようなもの」という台詞が登場する。中林建設のマンション建設の地上げ被害を受けて亡くなった住民を指した言葉である。高岡賢一(石黒賢)の実家にあるマンションは中林建設が建てた。中林建設の関連企業「中林ハウジング」が暴力的な地上げをした。高岡賢一の母親は店に猫の死骸を放り投げられるなどの酷い嫌がらせを受けて亡くなっていた。

現実では同じように「東急不動産に殺されたようなものですね」との台詞が当てはまる住民も多い。東急不動産だまし売り裁判では東急不動産のために働いた地上げブローカーが証人尋問でマンション建設地を地上げしたと証言した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、57頁)。

渋谷駅桜丘口地区市街地再開発の対象地域の渋谷区桜丘町では暴力団員による賃借人への暴力的な地上げが行われた雑居ビルを東急不動産が地上げ会社から購入した。賃借人は東急不動産に抗議した(山岡俊介「本紙既報の東京・渋谷再開発地区違法地上げ(最終とりまとめは東証1部大手不動産会社?)で、暴力団組員など逮捕に」アクセスジャーナル2008/07/18)。

東急電鉄・東急不動産が主体となって進める世田谷区の再開発・二子玉川ライズ周辺では超高層ビル建設などの環境激変により、体調を壊し、亡くなる住民が出ている(林田力『二子玉川ライズ反対運動』マイブックル)。まさに東急不動産により殺されたようなものである。
http://hayariki.net/poli/tokyo.html

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『相棒 season10』第18話、右翼風は胡散臭い

テレビ朝日系ドラマ『相棒 season10』が、3月7日に第18話「守るべきもの」を放送した。重要な研究をしている企業研究者・泊(今井朋彦)がスナイパーからライフルで狙われる。スナイパーは洋楽をBGMとしており、別のドラマの雰囲気である。

一発目の狙撃後に民間警備会社社員・土方(合田雅吏)が走り出し、二発目の狙撃が命中して死亡してしまう。この行動から土方は銃声を聞いて逃げようとしたと判断される。土方は元警官でSPをしていたが、警察学校同期の神戸尊(及川光博)によると、「SPの仕事が怖くなって辞めた」という。

特命係は捜査によってNPO「日本丸」に辿り着く。日本丸はNPOを隠れ蓑にし、暴力団ともつながりのある胡散臭い団体である。その胡散臭さを右翼チックな雰囲気で表現している。シンボルマークは日の丸をイメージし、事務所には日の丸を掲げ、富士山の写真を飾っている。

団体の方針は「日本を豊かで美しい国にする」という抽象的なものである。安部晋三の「美しい国」や東急電鉄の「美しい時代へ」と同じような意味不明さと価値観の押し付けという気持ち悪さを感じさせる。さらにメンバーが軍服のような制服を着ており、三島由紀夫の盾の会を連想させる。

日本丸は泊から「金が目当ての団体」と指摘されるが、その胡散臭さを右翼的な属性で演出する『相棒』の感性を高く評価する。この狙撃事件は捜一トリオも並行して捜査していたが、彼らも独自に日本丸に辿り着いた。最近は特命係の引き立て役ばかりであったトリオの見せ場である。(林田力)
http://hayariki.net/drama.htm

中二病患者から離れられない『平清盛』

NHK大河ドラマ『平清盛』が、3月4日に第9回「ふたりのはみだし者」を放送した。この回では清盛に立ちはだかることになる後白河法皇の若き日の姿、雅仁親王(松田翔太)が登場する。主人公の平清盛(松山ケンイチ)が無頼から真人間になった途端、新たな中二病患者が登場した。

序盤から低視聴率となった『平清盛』であるが、主人公に感情移入できないことが一因である。第1回「ふたりの父」は清盛の父親の平忠盛(中井貴一)が主人公であった。王家の番犬である武士の虚しさ、白拍子の舞子(吹石一恵)との心温まる交流、白河法皇(伊東四朗)への命がけの訴え、白河法皇の非情な命令が描かれ、大いに感情移入できた。

第2回「無頼の高平太」から松山ケンイチ演じる清盛が登場するが、衝撃的な生い立ちを知ったショックで無頼に走る。しかし、第1回での忠盛の苦労を知る視聴者にとって清盛は父親の気持ちを知らない親不孝者にしか見えない。清盛の無頼はグレたヤンキーと同レベルで、大河ドラマの主人公としては情けない。これでは不人気になっても仕方がない。

これは『平清盛』の失敗を意味しない。大河ドラマの良いところは1年間の長丁場であることである。主人公が間違った方向に走るウンザリする展開も時間をかけて描く余裕がある。第6回「西海の海賊王」で清盛は出生の秘密を教えた兎丸(加藤浩次)と再会し、鬱屈した怒りをぶつける。これによって無頼から卒業した。ここからが本題といったところである。

清盛の反抗期は終了したが、取って代わるように雅仁親王(松田翔太)が登場した。雅仁親王は崇徳天皇(井浦新)の弟であるが、お忍びで外出して博打場に入り浸り、今様が好きという変わり者である。鳥羽上皇(三上博史)の皇子誕生の宴では、父の鳥羽上皇や母の待賢門院璋子(檀れい)、得子(松雪泰子)の本性を暴き、宴をぶち壊しにする。ここでも親に問題があるから、子どもの自分がグレると言わんばかりの態度である。

今回のタイトルは「ふたりのはみだし者」である。はみだし者の一人は冒頭で「王家のはみだし者」と紹介された雅仁親王である。もう一人は清盛になる。二人は双六で対決する。第6回「西海の海賊王」では「海賊王になる」という人気漫画『ONE PIECE』の台詞が飛び出したが、今回はギャンブル漫画の雰囲気がある。

「ふたりのはみだし者」と並べられたものの、今回の清盛は常識人である。息子も生まれて、よき父親になっている。外観が内面を象徴するのか、清盛の外観も小奇麗になった。雅仁親王には「生まれは変えられずとも、生きる道は変えられる」と語り、もはや出生の秘密の衝撃を引きずっていない。さらに王家の乱脈を背景に「親子の絆は脆い」と語る雅仁親王に「平家は王家とは違う」と断言する。

清盛と後白河法皇は晩年の対立者としてのイメージが強いが、一定時期までは協力者であった。『平清盛』では初対面での思想の違いを浮かび上がらせることで、後年の対立を平家の傲慢故に生じたものではなく、必然的な対立として演出することを可能にしている。(林田力)
http://hayariki.net/drama.htm#15

『ストロベリーナイト』『相棒』『最高の人生の終り方』

『ストロベリーナイト』『相棒』刑事ドラマは内部の不協和音
http://npn.co.jp/article/detail/91880053/
フジテレビ系ドラマ『ストロベリーナイト』が1月10日から放送を開始した。誉田哲也の警察小説シリーズ「姫川玲子シリーズ」のドラマ化である。タイトルの『ストロベリーナイト』は姫川玲子シリーズの第一作のタイトルであるが、この内容は2010年に単発ドラマで放送済みである。連続ドラマは『ソウルケイジ』『シンメトリー』『感染遊戯』が原作である。

 第1話「シンメトリー」は短編集『シンメトリー』所収の同名の短編に基づく。誉田哲也の作品は推理物ながら犯人側の視点での記述が多いことが特徴で、特に「シンメトリー」は犯人による一人称小説になっている。ドラマでは刑事の姫川玲子(竹内結子)を主人公とするものの、所々で部分的に犯人側の言動を描き、原作の味を出している。

『最高の人生の終り方』サポート役の前田敦子が葬儀屋らしさを発揮
http://npn.co.jp/article/detail/90418392/
 TBS系木曜ドラマ『最高の人生の終り方~エンディングプランナー~』が、1月19日に第2話『涙と葬儀屋の謎』を放送した。AKB48の前田敦子が兄を支える妹として葬儀屋のシビアさと人情味を出した。
 『最高の人生の終り方』は葬儀屋を主人公としたヒューマンドラマである。葬儀屋に運ばれてきた遺体から死者の人生に迫る。医療をはじめとする科学技術の発達で現代人の生活から死は遠ざけられたものの、高齢化社会を迎える中で改めて身近な問題になった。映画『おくりびと』が高評価を得たように死への関心が高まっている。『おくりびと』で主人公を納棺師にした山崎努が『最高の人生の終り方』で主人公の導き役で登場する点も因縁めいている。

『キングオブコント2011』トリオの力でロバートが圧勝
http://npn.co.jp/article/detail/32583156/
 ロバートが1本目で披露したネタは役者への取材話である。ロバートらしい安定したネタが942点という圧倒的な高得点を弾き出した。しかし、点数では934点と劣るものの、むしろ2本目のネタがロバートの優勝に文句を付けられないものとした。

 2本目は自動車修理工場のネタである。山本博が自動車の修理を依頼した顧客、馬場裕之が自動車工場の社長、秋山竜次が「おしゃべりのシゲ」と呼ばれる従業員である。山本が秋山の暴走に振り回される点は他のロバートのネタと同じであるが、ラストでは山本と馬場のポジションが逆転する。

平清盛「源平の御曹司」

NHK大河ドラマ『平清盛』第3回「源平の御曹司」が2011年1月22日に放送された。平清盛(松山ケンイチ)は、瀬戸内海で船の警護役と称し海賊と戦い、取り返した食物を漁民に返すという無頼の日々を送っていた。
恐縮する漁民に清盛は「元はお前達の米だ、遠慮するな」と言う。未だに人権意識の低い現代日本社会でも生活保護を受けることを恥ずかしいことという論調があるが、生活保護を受けることは人権である。清盛の言うように堂々と受ければいい。清盛の先進性を演出する。
しかし、清盛は賊と間違えられて捕らえられ、京に連れ戻されてしまう。再会した平忠盛(中井貴一)は清盛を京都に留める。さらに清盛は「北面の武士」という院の警護役を命じるが、清盛は拒否する。あくまで「自分ひとりの面白き人生を歩む」と主張する。清盛の前に源義朝(玉木宏)と名乗る青年が現れる。義朝は為義の嫡男で、清盛に勝負を挑む。源平の因縁が始まる。
清盛と母親の平宗子、弟の平家盛は血がつながっていない。しかし、家族として互いを思いやっている。時代劇で定番の骨肉の争いとは大違いである。前近代的な家父長制の下では争いが起きない場合、往々にして年下の方が我慢させられる。しかし、平家では継母が継子、兄が血のつながらない弟を思いやる。これが一家のまとまる秘訣である。
その後で場面は天皇家に移る。鳥羽院と崇徳天皇の確執が描かれる。鳥羽院の崇徳天皇に対する憎しみが強調される。平家とは対照的に年上が年下に対して横暴で、思いやりの心がない。平家の隆盛と天皇家の衰退を予測させる展開である。(林田力)
http://hayariki.anime-japan.net/
林田力スポーツ
http://hayariki.kakuren-bo.com/


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